おいしさを化学する
遺伝子、タンパク質、糖質、脂質といったミクロレベルの情報から、食品の機能解明や製造プロセスの設計手法について研究しています。研究室では、パンを焼いたり、麺を打ったりしながら、それらの分子構造や分子間相互作用を調べる化学分析技術を学んでいます。 また、植物を利用した、健康食品成分や食品着色料などの有用物質生産システムの構築を目指し、それらの化合物の生合成に関わる遺伝子の機能を明らかにする研究も行っています。
代表的な小麦粉食品であるパンや麺(うどん、中華麺、パスタなど)の製造法はまだ芸術的な要素が強く、科学的な解析が求められている分野です。 小麦粉はグルテンと呼ばれるタンパク質の水和物がネットワーク構造を形成して、独特な食感や二次加工特性を発現します。 私たちの研究室ではグルテンを染色し、蛍光顕微鏡を使って可視化することによってグルテンの組織構造を数値化し、製造法と食感や二次加工特性との関連性について研究しています。
穀物デンプンは重要な食品素材です。デンプンは水中で温度を上げていくと糊状になるという重要な性質があります。これを糊化特性とよび、何度で糊状になるかは食品素材として重要な要件です。 私たちの研究室では、デンプンをアミノ酸といっしょに少し高い温度・圧力のもとで複合化することによって、糊化特性などに特徴あるデンプンの創製に挑戦しています。
食品の“おいしさ”には、味や香りに関わる成分の相対バランスが大きく寄与していることから、それらを客観的な指標として数値化できれば、おいしい食品の開発や、他の食品との差別化、あるいは“おいしさ”を保つ加工・保存方法の最適化などにつながるものと期待されます。 私たちは、メタボローム解析という手法を用いて、さまざまな食品のもつ成分を網羅的に調べ、官能評価と合わせて、食品の“おいしさ”を数値化することにチャレンジしています。
植物や藻類などの光合成生物がつくり出す化学物質の中には、肥満防止や老化抑制、免疫機能の増強など、私たちの健康機能性に寄与するものが数多くあります。
私たちは、そのような機能性成分を探索するとともに、それらが光合成生物の細胞内でどのように生合成されるのかを遺伝子レベルで明らかにすることを目的として、光合成生物がもつ化学物質の分析、それらの生合成に関わる遺伝子の機能解析、およびそれらの生産性の評価などにチャレンジしています。
有用成分の大量生産や、新たな機能性を付与した高付加価値食品の開発に役立てることを目指して研究しています。
食品のにおい分析、食品の物性測定および評価、製パン・製麺技術、植物抽出成分の分析
製パン設備、ガスクロマトグラフ質量分析計、液体クロマトグラフ質量分析計、ラピッドビスコアナライザー